FX(為替)取引には、レバッレッジが設定できるようになっています。
このレバレッジにより、我々トレーダーは、小さな資金で大きな取引ができるようになり、取引額の大きさに比例して、利益又は損失が大きくなります。
日本のFX業者に比べ、海外業者はレバレッジが大きく、危険といわれることがあります。
しかし、専業FXトレーダーのなかでには、海外業者のレバレッジ倍率がないと、稼げないという人も少なくありません。
本記事では、そもそもレバレッジとはどのようなものなのか?
レバレッジ倍率が高いと危険なのか?
レバレッジのメリット・デメリットや活用方法などについて、正しく理解いただけるよう解説します。
<この記事でわかること>
- レバレッジを使うとどのような取引になるのかがわかる。
- レバレッジのメリットとデメリットを正しく理解できる。
- レバレッジの種類(倍率)と、利益又は損失の関係がわかる。
- レバレッジを設定したときの取引方法と注意点がわかる。
それでは、早速解説していきます。
目次
FX取引におけるレバレッジとは?

レバレッジの語源は、てこの原理の「てこ」のことです。
小さな力で大きなものを持ち上げるという意からこのように呼ばれています。
FX取引は、レバレッジを活用して取引するのが一般的です。
FXのレバレッジとは、FX口座に預けた資金(証拠金という)の何倍で取引するかを示す倍率を表しています。
具体的に解説します!
レバレッジは少ない資金で稼ぐための武器
例えば、1USDが100円とします。
証拠金(自己資金)のうち100万円でレバレッジ1倍のまま全額USドルを買うとします。
単純に1万USドルの買いポジションをもち、思惑どおり上昇し、101円になったところで決済したとすると口座残高が101万円となり、1万円の利益となります。
それでは、レバレッジ10倍の設定をして、同様に証拠金(自己資金)100万円で取引をした場合、1,000万円の取引となり、101円で決済すると、1,010万円で売ったことになり、利益の10万円が口座残高(証拠金)に加算されます。
つまり、レバレッジ10倍は、トレードの取引額が証拠金の10倍にできるので、利益も10倍になるという稼ぐための強力な武器なのです。
しかし、上限もあります。
レバレッジは最大何倍まで?
レバレッジは日本国内の場合、2倍から25倍まで任意に設定できます。(2021年10月現在)
海外FX業者の場合、5,000倍などという取引口座も存在しますが、証拠金維持率や資金管理法、ロスカットマネージメントを理解していない方には大変危険です。
どのような危険があるのか、みていきましょう!
FX取引のレバレッジをかけるメリットとデメリット

少額で大きな取引ができるレバレッジですが、前述したようにメリットがある代わりにデメリットもありますので、十分理解いただいたうえで、利用するかどうかを検討しましょう。
検討するためには、レバレッジの特徴を理解しましょう!
レバレッジのメリット:少額の資金でも大きな利益が得られる
前述した100万円の自己資金で10倍のレバレッジをかけると1,000万円の取引ができ、10倍の利益になることはご理解いただけたかと思います。
それでは、レバレッジ25倍の設定で、1,000万円の取引をするためには、いくらの自己資金が必要がを考えてみましょう。
単純に、1,000万円 ÷ 25 =40万円ということになります。
先ほどの例をレバレッジ25倍の設定に変え、40万円の証拠金(自己資金)で、1USドル=100円のときに、1000万円分のUSドルを買って、1USドル=101円のときにすべてを決済すると、やはり10万円の利益を得ることができます。
40万円で10万円の利益を得られるのは、大きいと思いますがいかがでしょうか。
これが、レバレッジ効果であり、レバレッジ最大のメリットです。
デメリットも把握しましょう!
レバレッジのデメリット:資金以上の損失が発生するリスクがある
逆にデメリットについて、考えてみましょう。
同様に、レバレッジ10倍の設定で、証拠金100万円で、1USドル=100円のときに、1,000万円分のUSドルを買います。
思惑と逆の下落の方向に値が動き、1USドル95円のときに決済し、5円の損失を出してしまったとします。
この場合の損失合計額は、1,000万円 – 950万円=50万円となり、証拠金は100万円-50万円=50万円となり資金が半減します。
次に、レバレッジ25倍の設定で、同様に1USドル=100円で1,000万円分のUSドルを買い、95円のときに決済したとすると、1,000万円 – 950万円=50万円の損失となり、証拠金40万円-50万円=-10万円となってしまいます。
もし証拠金総額が40万円しか入金していなかった場合には、口座残高は-10万円の追証状態(借金)となってしまいます。
このように、レバレッジは倍率が高ければ高いほど大きな取引ができ、大きな利益が狙える半面、大きな損失を抱える原因にもなるのです。
それでは、どうすればレバレッジをうまくコントロールできるのか?
具体的に解説してきます!
FX初心者がレバレッジで大損しないためのコツ

レバレッジを設定してFX取引をする場合、いくつかの注意点があります。
これらの注意点を守ることで、レバレッジ効果のある取引ができますので、ぜひマスターしましょう。
それでは、大損しないためのコツを紹介していきます!
証拠金維持率は高く保つ
FX取引は、株式取引や先物取引などと同様に、「差金決済取引」に類しています。
つまり、買った価格と決済するため売った価格の差額、逆に売った価格と決済するため買った価格の差額が、利益又は損失になる取引ということです。
証拠金とは、差金決済取引を行う際、担保として取引所に預けるお金のことです。
担保として預けたお金の総額を受入証拠金といい、そのなかでエントリー(ポジションを建てる)する際に拘束される証拠金を必要証拠金といいます。
FX取引のレバレッジは、100万円の証拠金で1000万円の取引をする際、900万円をFX会社から借金しているなど途中経過が反映される訳ではなく、「取引の結果が口座に反映されているだけ」ということになります。
そのため、レバレッジ設定をオープンするための口座資金を受入証拠金といい、レバレッジ設定をした取引に対し、資金余力がどれだけあるのかを示す数値を証拠金維持率として表しています。
簡単にいうと、レバレッジを効かせた取引をしている中で、証拠金維持率が高ければ高いほど資金余力のある取引をしているということになり、加えて証拠金維持率が低ければ低いほど余力がない取引となり、維持率が100%を切ると強制ロスカットされる領域に入ります。
したがって、証拠金維持率はデイトレなど短期売買で少なくとも300%、スイングなど長期投資で1000%を維持するようにしましょう。
レバレッジは2倍までにしておく
レバレッジは高ければ高いほど、大きな取引ができ大きな利益を狙えるのですが、それと応分のリスクがあることは前述したとおりです。
一発退場にならないように、最初は大きなレバレッジを設定せず、2倍までにしておくことをおすすめします。
証拠金維持率が、価格が動くにつれ、どのように変化するのか、変化に対しどのように対応するのかなど、慣れる必要があります。
ロスカットがいくらで発生するのか計算しておく

FX取引は、レバレッジを設定して取引すると、当然ですが、必要証拠金が有効証拠金よりも大きくなってしまうと、強制的にロスカットされます。
ですから、ロスカット値を知っておくことは、現在の相場を把握するためにも重要です。
取引をする際に、持とうとしているポジションサイズ(数量)の必要証拠金の金額と有効証拠金の金額から余剰金を求め、ロスカットまでの値幅と、ロスカットされる値(価格)を把握しておきましょう。
では、実際の計算方法をみてみましょう!
ポジションサイズ(金額)÷ レバレッジ倍率=必要証拠金
有効証拠金 – 必要証拠金 = 余剰金
余剰金 ÷ 通貨数量 = ロスカットまでの値幅
※有効証拠金・・・取引証拠金に評価損益を加減算したもの
必要証拠金・・・ポジションを維持するために必要な金額
ロスカット基準・・・有効証拠金が必要証拠金を下回った時点
<買いポジションの場合>
余剰金を計算した時の為替レート - ロスカットまでの値幅=ロスカット値
<売りポジションの場合>
余剰金を計算した時の為替レート + ロスカットまでの値幅=ロスカット値
計算例)買いポジションの場合
USD/JPYを100,000円で1000USドル買った場合で有効証拠金が5,000円の場合、
有効証拠金・・・5,000円
必要証拠金・・・4,000円(レバレッジ25倍)
USD/JPYの現在値が1USD=100.00円として、
5,000円 – 4,000円=1,000円(余剰金)
1,000円 ÷ 1,000USD=1円(ロスカットまでの値幅)
買いポジションを保有している場合、100.00円 – 1円=99.00円(ロスカット値)
99.00円を下回った時点で、ロスカットとなる。
資金が枯渇する前にうまく逃げる方法を探りましょう!
あらかじめ損切の設定をしておく
これは、よく勘違いする方が多いのですが、トレードは、まずロスカットポイントを決めることからはじめる必要があります。
1回あたりのトレードコストを一定に保つことが、期待値(取引回数を重ねるほど資金が増えることを示す値)を追うために、大変重要だからです。
ロスカットポイントが決まったら、そこから逆算して、1回あたりのトレードコストの値幅分上値又は下値にエントリーポイントを決めます。
そうすることでしか、トレードコストを一定に保つことはできないからです。
それでエントリーチャンスを逃しても、大負けするくらいならそちらの方が期待値を追えます。
例えば、この安値を割り込んだら、買いポジションはロスカットするという価格を決め、そこから20pips上値で買いエントリーするという決め方をします。
売りポジションの場合はこの逆です。
そして、エントリーしたら決めたとおりのロスカットポイントに、逆指値注文を入れましょう。
まとめ|正しい知識でレバレッジを味方につけよう!

レバレッジを味方につけると、その効果が大きいことはお分かりいただけたと思います。
しかし、一旦敵に回してしまうととんでもない損失を出してしまいますので注意が必要です。
重要なことは、退場させられないよう、証拠金維持率が300%を下回らない適切な資金量で臨むこと、それに加えてロスカットポイントを決め、1回あたりのトレードコストを一定に保つことが重要です。
そうすることで、レバレッジの倍率が高くても、適切な資金管理、取引手法の勝率とリスクリワード(損失:利益)を予測し、ロスカットが実行できれば、逆に恐れるものではなく、むしろ強力な味方にできます。
本記事を何回も読み直して、正しく理解していただき、リアルトレードで実践しましょう。
