証拠金のシステムを理解することはFXで常勝トレーダーとなるための第一歩です。
逆に知識が足りないまま高倍率(レバレッジ)でエントリーすると、その瞬間ポジションが全て解消されて損失になってしまうということもありえます。
実際に初心者からプロトレーダーまでもがレバレッジのバランスを保てず証拠金を全て失ってしまうこともあるのです。
この記事では、トレーダーの生命線とも言える証拠金とレバレッジの関係性を理解し賢い取引方法を身に着けるための基本的な事項についてお伝えします。
目次
FXの証拠金とは?

FXトレードをするには証拠金が必要となります。
トレーダーは証拠金を元手に様々な手法を駆使して利益を追求しますが、証拠金とは何なのか?を理解せずにトレードを始めると思わぬ落とし穴が待ち構えています。
まずは、証拠金の重要性とトレードのシステムについて理解を深めましょう。
証拠金はレバレッジをかけた取引の担保となるお金
証拠金とはトレードの為に必要となる金額です。
FXではロットという単位で取引をします。
ほとんどのFX業者で1ロットは1万通貨の取引となります。
1万通貨というと1万ドル(100万円程)の為替取引を行うことが通常です。
しかし実際に100万円を用意しなくても、100万円規模の取引ができるようにしたのがレバレッジのシステムです。日本の金融庁に登録されているFX業者は最大25倍のレバレッジ、海外FX業者は888倍等も存在します。
FX会社がそれぞれ設定しているレバレッジと賭けたいロット数により、これだけは口座に入金しておいて欲しいといった金額が証拠金ということになります。
レートの変動に応じて証拠金は変わる
証拠金はリアルタイムの為替レートにより変動します。
レバレッジ25倍で1lotの取引であれば
為替レート×10000÷25
という計算で、例えばドル/円を110円とすると44000円の証拠金が必要となります。
FXの証拠金制度のメリット
それでは、トレーダーにとっての証拠金制度で受けるメリットとは、何が考えられるでしょうか?
為替市場では値動きがとても狭いためトレードで得られる利益がほぼありません。
そこで、大きな金額を動かすために証拠金にレバレッジを乗じて運用するのですが、稀にとても大きな値動きが発生します。
未曾有の大災害や金融リスクに見舞われた際には驚くほどの変動となり、証拠金以上の大損害につながることも少なくありません。
このような状況下でトレーダーが必要以上に損害を膨らませないよう保護するのが証拠金制度なのです。
FXの証拠金制度のデメリット
証拠金制度により被るデメリットはロスカットがあげられます。
決して価格変動が激しくない状況下でも、緩やかに元本を割り込んで必要な証拠金を確保しておけない状態になった場合は再度エントリーが出来なくなるほか、強制的にポジションを解消されてしまうロスカットが執行されてしまいます。
ロスカットはFX業者がトレーダー保護のために強制執行しますので、トレーダーの望む価格での約定ではないというのがデメリットといえるでしょう。
FXの証拠金で覚えておきたい3つの用語

ここまで証拠金やロスカット等について解説してきましたが、
FXは専門用語が沢山あって混乱してしまいますよね。
ここからは証拠金について言葉の意味を振り返ってみましょう。
必要証拠金
必要証拠金とは、トレードをするために必須の金額です。
レバレッジとlot数、そして取引通貨ペアに応じて変動します。
先述しましたが為替レート×10000÷25で計算ができます。
国内登録業者ではレバレッジ25倍が通常ですのでドル/円取引の必要証拠金は凡そ44000円前後となっていることが多いでしょう。
レバレッジ1000倍であれば1100円の証拠金があれば取引できてしまいますね。
有効証拠金
トレードを繰り返すうちに、複数の通貨ペアでポジションをもつことがあります。
利益がでているポジションを決済する前の見込み額を含み益といい、
損失がでているポジションを決済する前の見込み額を含み損といいます。
入金している口座残高に含み益と含み損を加えた金額を有効証拠金といい、
ロスカットルールやマージンカットでは有効証拠金が必要証拠金よりも少なくなっているかどうか?で機械的に判断されることとなります。
証拠金維持率
必要証拠金に対して残高の余力がどの程度あるかを百分率(%)で表したものを証拠金維持率と言います。
入金した口座残高(すでに別のポジションをもっている場合は有効証拠金)と保有しているポジションの必要証拠金がピッタリであれば証拠金維持率は100%となります。
ロスカットやマージンカットといったルールではこの証拠金維持率が何%なのか?といった内容で強制執行の必要性を判断します。
国内FX業者のロスカット基準は、証拠金維持率が50%以下となった場合に執行されるのが一般的です。
証拠金維持率100%を切った場合は、追加証拠金の入金やポジション決済を求められるマージンコールというルールがあり、対応しないと保有中のポジションを決済されてしまうマージンカットという制度があります。
FXの証拠金維持率とロスカットの関係

ここまで読んでいただいた方には、ロスカットが思い通りに決済させてもらえない悪魔のようなルールに感じるでしょう。
もう少しポジションをもっていたらプラスになっていたと感じることもないかもしれません。
トレーダーのニーズは、ロスカットを求めていないように感じますが、
はたしてどうしてここまでロスカットが徹底されているのでしょうか。
ここからは、ロスカットがトレーダーの立場にたった重要なルールであることを解説していきます。
ロスカットとは投資家を保護するための制度
まず信用取引には常に莫大なリスクが伴います。
ロスカットルールというとFX業界から発生したルールだと思われがちですが、正しくは日本の金融庁から内閣府令という形で義務付けられているルールなのです。
ひとたび未曾有の大災害や、政治不安が起こると激しい価格変動により資産以上の大きな負債をかかえてしまう可能性を孕んでいます。
ロスカットルールは、そんな最悪な状況からトレーダーを保護するため有効証拠金が一定の水準を下回った際に強制的に取引を終了させ、最低限の資金をトレーダーの手元に残すためのルールであると認識しておくことが重要です。
証拠金維持率が下回るとロスカットが執行される
ロスカットはトレーダーを守るルールとして存在していますが、口座残高とポジション必要証拠金のバランスを崩すだけで通常のボラティリティでも証拠金維持率100%を割り込んでしまうことがあります。
長年相場を生業としているトレーダーでもこういった一瞬のケアレスミスで培ってきた財産を失い兼ねないのがFXの落とし穴となっています。
トランプ大統領が誕生した2016年アメリカ大統領選挙ではドル円相場にとっても歴史に残る1日でした。
未知の大統領に対する不安と期待からドル円相場のレンジは101~105円台を行ったり来たりと未曾有の大相場となりました。
証拠金維持率を高く保っていなかったトレーダーは軒並み廃業に追い込まれました。
強制ロスカットを回避するための6つの対策

激しいボラティリティのなかロスカットを回避するためにできることはなにがあるでしょうか?
ここからは大切な資金を守るためロスカットが執行されないよう準備できることについて解説していきます
証拠金維持率を高めておく
証拠金維持率を高く設定しておくことで、ロスカットの可能性を下げることができます。
初期に設定したレバレッジの倍率により必要証拠金の額に変動しますが国内業者25倍のレバレッジでは証拠金維持率を250%をキープしておくと前述した大統領選挙のような値動きにも対応できますね。
レバレッジをかけすぎない
レバレッジを低く抑えることで証拠金維持率を高く設定できるので、ロスカットの可能性をさげることができます。
国内FX業者は25倍までのルールがありますが、海外業者では最大888倍等のレバレッジが掛けられるものもあります。
それだけ高倍率なレバレッジで取引すると、マイナス側へ動いた瞬間すぐに証拠金維持率100%を切ってロスカットの対象となってしまうでしょう。
海外FX業者は金融庁に届け出をせずに高レバレッジでギャンブル性の高いトレードを提供しています。
こういった高倍率での取引を繰り返していくと、資金が増えても1度負けトレードをしただけで再起不可能になるのでバランスには注意しましょう。
当然、顧客ファーストの意識は低いのでロスカットルールがない業者も存在します。
ロスカットのルールがない場合のデメリットは前述したとおりです。
投資で失敗したという話のほとんどはこのレバレッジのかけすぎによるものだと言っていいでしょう。
十分な資金を入金しておく
口座の資金を潤沢にしておくと証拠金維持率を高く設定できるので、ロスカットの可能性を下げることができます。
レバレッジがいくらであっても、レバレッジと同じだけの倍率の資金を入金しておくと、レバレッジ1倍という状況がつくれるためロスカットの対象となる可能性は極めて低くなるでしょう。
早い段階で損切りする
含み損を拡大させる前に、早い段階で決済することでロスカットを回避することができます。
駆け出しトレーダーに多い失敗は、損切りの決心がつかずにロスカット執行までポジションを保有し続けてしまうことです。
エントリーの段階で利益確定ライン、損切ラインの計画をたてて計画的に取引することが大切です。
マージンコールに注意する
証拠金維持率が100%を切ると、ポジションの解消もしくは追加で必要証拠金以上の入金をFX会社が求めてきます。
このことをマージンコールといって、指定された期日までに対応がなかった場合ロスカットと同様、強制的にポジションが解消(マージンカット)されるルールとなっています。
マージンコールが届いたときには証拠金維持率が100%を割り込んでいるため、レバレッジの変更やポジション数を減らす等のトレードスタイルを見直すことをお勧めします。
ロスカットラインを把握しておく
取引業者によって、ロスカットのルールは様々です。
日本国内のFX業者であれば、証拠金維持率50%というのが基本です。
入金する余力があるにもかかわらずロスカットしてしまった場合など、再度ポジションを持つためエントリーする際に、スプレッド幅による手数料を支払わなければならないので無駄な出費となりますよね。
資金管理は賢く取り組み、生命線でもある証拠金を大切に守っていきましょう。
海外FX業者のロスカットラインは様々なルールがあり、ロスカットラインが証拠金維持率ゼロまで執行されないような業者も存在します。
まとめ|正しい知識で賢くFX取引をしよう

今回の記事では、ロスカットはトレーダー保護のルールである一方、油断していると余計な損失をうんでしまうルールであることがお判りいただけたと思います。
余力があるのに入金をしていなかった、証拠金維持率が許す限りポジション数を保有する行為はロスカットの可能性を高めて無駄に手数料をはらうことにも繋がりかねません。
賢く資金を管理することで無駄を省きより効率の良いFX取引ができるようになります。
この記事を参考に、証拠金の知識を身に着けて正しく取引できるようにしましょう!
