MT4などのチャートソフトには、1本のローソク足が1分のものから、1ヶ月のものまで選べる機能が備わっています。
FXのトレードスタイルも同様に、取引の時間軸の長さと狙う値幅の違いから、主に3種類のトレードスタイルがあります。
本記事では、3種類のトレードスタイルごとに、エントリーチャンスの時間帯、取引手法例などを踏まえて解説しますので、ご興味のある方は、ぜひご参照ください。
目次
FXのトレードスタイル3種類

FXトレードには、次の3種のトレードスタイルがあります。
- 2日~1ヶ月前後の期間ポジションを持つスイングトレード
- 1日以内に決済するデイトレード
- 数分から数十分で決済するスキャルピングトレード。
それぞれ、どのようなトレード方法なのかを分かり易く解説します。
トレードスタイル①長期取引のスイングトレード

一般に世界の年金基金、保険会社、銀行、ヘッジファンドの一部などの大口投資家が、行っているトレードスタイルは、スイングトレードと言われています。
使用するチャートは、週足(ローソク足1本が1週間)、月足(ローソク足1本が1ヶ月)で全体相場を捉え、日足、4時間足でエントリー又は決済を行います。
彼らが保有するポジションは、1社あたり数百億円~数兆円ともいわれます。
もし、彼らが一気にポジションを持とうとすると、例えば買いポジションの場合、自身の買い注文で相場が短時間に急上昇するため、レンジ相場で分割して購入します。
よく数日間レンジ相場が続くことがありますが、その間に大口投資家はポジションを仕込んでいるのです。
一般投資家である我々は、レバレッジを効かせた取引をしているため、資金効率やもし下落してきたときのリスクを考えると彼らの真似をすることはできませんが、例えば4時間足で数日から1週間前後の期間で上昇波動、下落波動の値幅を獲ることは十分可能です。
ただ、スイングトレードの場合、ロスカット幅が大きくなり、トレードコストは高額になりがちですので注意が必要です。
「チャートはフラクタル(図形の部分と全体が自己相似になっているもの)」と、いわれます。
時間足の長いチャートも1分足のチャートも同じような形(フォーメーション)を形成する、どこの部分を切りっとっても、同じような形をしているという意味です。
最初は5分足など、短い時間軸で構成されるチャートをみて相場の動きや形に慣れ、日足チャートがどのような形を形成していくかの予測を重ねれば、予測精度があがってきます。
特に日足は、その日一日のトレンドを示す場合が多いので、後述するデイトレードやスキャルピングで取引する際も、トレンドがどちらを向いているのかの確認のため、常に見る癖をつけましょう!
そんなに長く持ちたくない、損失は制限し、早く利食いしたいという方は、次のデイトレードをみてみましょう!
トレードスタイル②中期取引のデイトレード

デイトレードは、次の時間を意識するトレードスタイルです。
- 日本市場がはじまる8時
- ロンドン時間が始まる日本時間17時(サマータイムは16時)
- ニューヨーク時間がはじまる日本時間23時(サマータイムは22時)
これらの節目の時間帯に、相場が上昇か下落のどちらに動くのかを予測して取引するスタイルです。
デイトレーダーは、1日の一番最後に取引されるニューヨーク市場が終わる午前6時(冬時間は日本時間午前7時)までに、ポジションを決済し翌日の相場に備えます。
翌日といっても、1、2時間ほどしかありません。
筆者の場合は、ロンドンFIXの日本時間22時(冬時間21時)で、決済して手仕舞います。
そして、翌日の朝6時から8時のオセアニア時間の値動きをみて、東京時間にエントリーし、欧州時間が始まる前に一旦手仕舞いし、欧州時間に再度エントリーするというスタイルです。
チャートは、月足、週足、日足、4時間足を確認し、すべての時間足のチャートを分析して、上昇方向なのか、下落方向に動きそうなのか、レンジになりそうなのかを確認します。
そして、まずロスカットポイントを決め、そこからトレードコストを上乗せし逆算して、エントリーポイントを決め、基本的に指値でエントリーしますが、ブレイクアウトの場合のみ成行注文でエントリーしています。
何故ロスカットポイントから決めるのかというと、トレードコストを一定に保つためです。
もし、指値でエントリーできない場合は、上値又は下値抵抗ラインをブレイクしたところで順張りでエントリーします。
もっと短い時間で稼ぎたいという方は、次の章で解説するスキャルピングを検討しましょう!
トレードスタイル③短期取引のスキャルピング

スキャルピングはFXの取引スタイルの中で、エントリーから決済まで最も短い時間(数十秒~数十分)で取引を完了する取引手法です。
狙う値幅(利幅)が最も狭い代わりに、狙うポイントによっては勝率が高い取引手法です。
日本時間がはじまる午前8時から10時、欧州時間がはじまる日本時間15時から18時、ニューヨーク時間がはじまる21時(冬時間22時)~翌1時がエントリーチャンスです。
スキャルピングを専門に取引する人のことを、スキャルパーと呼んでいます。
高レバレッジ環境で取引する際には、最も有効な取引手法であるといえます。
例をあげますと、次のケースでエントリーします。
①5分足でみて、過去2回以上止められ反発した価格帯に水平ラインを引いて、ラインをブレイクアウトした際に2本のローソク足を確認してからエントリーする。
狙う値幅は10pipsとします。
②三角持ち合いを形成した際に、三角持ち合いをブレイクアウトした際に2本のローソク足を確認してからエントリーする。狙う値幅は10pips。
③上昇波動の第三波動、下落波動の第三波動が発生したとき。
狙う値幅は、相場環境により決める。
何を言っているか分からない方もおられると思いますが、具体的に別の記事でわかりやすく解説します。
FX初心者におすすめのトレードスタイルとは?

3種類のトレードスタイルをご紹介をしましたが、どのスタイルが比較簡単に習得できるのかについて、この章では解説します。
始めやすいのはデイトレード
最もハードルが低いのは、デイトレードになります。
比較的落ち着いて取り組めることと、エントリーポイントに関してもスキャルピングほどシビアではありませんから、少々のミスであれば吸収できます。
週足、日足などの長期足を確認して、時点のトレンドを把握して、トレンドに逆らわないようにエントリーすると、勝ちやすいトレード手法です。
スキルを磨くためにはスキャルピングがおすすめ
スキャルピングは、相場の方向性、現在の値位置と波動の分析、三角持ち合いやチャートフォーメーション、高値安値、上値又は下値抵抗ラインと支持ラインなど、テクニカル分析の全てをマスターして、取引に臨むと勝率があげられる取引手法です。
そのため、分析すればするほど、想定する相場のシナリオの精度があがります。
これらで得られたスキルは、スイングトレードにもデイトレードにも、バイナリーオプショントレードにも活かせるようになります。
専業トレーダーになりたいという方は、積極的にチャレンジしてみてくださいね。
FX初心者がトレードで大損しないためのコツ

前述しましたが、短期トレードで重要なことは、トレードコストを一定に保つということです。
つまり、FXトレードや株式投資は、差金決済取引であり、買った値と売った値の差額、売った値と買い戻した値の差額が利益ですから、その利益をあげるためにいくらのコストをかけるかという原価意識が大切です。
あるトレードでは、2万円のリスク(コスト)で、またあるときは10万円の損失(コスト)がでてしまったということでは、当然ですがビジネスは安定しません。
また、リスクリワードという考え方も重要です。一言でいうと、リスク(損失)と利益の割合を意味します。
つまり、いくらのコストをかけ、いくら儲けようとしているのか?です。
ビジネスですから、当たり前の原価意識ですね。
トレードの場合、リスクリワードは最低1:1でなければなりません。
利益が100円なら、コストも100円で抑え、勝率が50%を超えると、超えた分が利益になります。
具体的には、1回あたりのトレードで、トレード資金総額の2%以上をコストにかけないようにしましょう。
トレード資金総額が10万円ならば、1回あたりのトレードコストは2,000円です。
1万通貨で1pips動くと100円ですから、20pipsで2,000円です。
つまり、1万通貨で取引をする場合、買いポジションのロスカットラインは20pips下ということになり、狙う利益は20pips以上、上の価格ということになります。
USD/JPYが、1USD=110円で買いエントリーするなら、ロスカットラインは109.80円。
決済(利食い)価格は、110.20円以上を狙える場合に限りエントリーしてもよい相場ということになります。
これは、レバレッジが何倍であろうと同じです。
重要なことなので、長くなりましたが、ぜひ覚えて実践してみてください。
展開の予想ができない場合はやみくもに取引しない

もう一つ、重要なことがあります。
それは、「ギャンブルトレードはやらない」ということです。
相場をみていて、テクニカル分析もせずにただ、上昇しそう、急落しそうという根拠で、リスクリワードも検討せずに、エントリーしてしまう人がいます。
実は、筆者もFXトレードをはじめたばかりのときはそうでした。
いわゆるポジポジ病という、病にかかっていました。
それだけにエントリーしたくなる気持ちはわかりますが、これは「病気」であり、ビジネスとは程遠い行動であることは、この記事を読まれた方はお気づきと思います。
トレードは、狙いすまして、コストをかけて利益を獲りにいくものであり、予想が的中するか否かのゲームではありません。
このことに気づいた瞬間、必要な知識を獲得してトレードに臨むと資金は自ずと増えていきます。
筆者の場合、今日はレンジの日だからスキャルも面白くないということで、ノーエントリーで終わることはひと月当たり5営業日くらいはあります。
これが「休むも相場」です。
しかし、相場は(ネットフリックスを見ながら)監視しています。
これが専業トレーダーの働き方です。
まとめ

FXのトレードスタイル3種類について、解説しましたが、FXは24時間いつでも取引ができるという点で株式投資とは違う利点があります。
しかし、スイングトレードでない限り取引スタイルによって、エントリーから決済するまでの時間帯は限定されます。
ご自身のライフスタイルにあわせ、取引スタイルを検討されることをおすすめいたします。
FXは他の相場と同様に、経済指標発表や世界の市場の開場・閉場時間をきっかけに相場が大きく動く性質があるからです。
また、トレードの時間軸が短ければ短いほど、エントリーチャンスと決済するタイミングは限られてきます。
そのため、相場の動きに自身の手法を合わせる意識が重要なことと、その環境下でも自身が狙う利益とコスト(損失)のバランスをとることで、収支が安定することを覚えておきましょう。
